Japanische Klassiker mit Furigana
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
相良の家は代々の大寄合で、桂一郎は少年時代から「長方形」といわれる長い角ばった顔つきをしていた。
――相良さんはいつでも半分怒っている。
節子は幼いころそう云って、父母や兄から適評だと笑われたものであるが、たいてい可笑いことがあっても、桂一郎は歯をみせて笑ったためしがない、口を一文字にして気にいらないのをがまんしているといったふうな、なにかしら芯のある顔つきをしていた。
一昨年の九月の十五夜は、泰馬が家で、月見の宴を催した。兄の役所の者や友人たちが集まり、かなり騒々しい酒宴になった。節子はようすをみはからって、いいころに自分の部屋へ退却したが、そのあとを追うように、泥酔した英之助がよろけ込んで来た。
――助けて下さい、死にそうです。
彼はこう云ってそこへ倒れ、頭をぐらぐらさせながら苦しそうに喘いだ。節子は水を注いで飲ませ、薬を取りに立とうとした。すると彼は哀願するように、片手をさし伸ばしながらこちらを見た。
――いやここにいて下さい。薬なんかいりません、少しこうしていればなおるんです。心ぼそくってしようがないんですから、済みませんが暫く側にいて下さい。