Japanische Klassiker mit Furigana
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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
Lesen Sie おれの女房 (おれのにょうぼう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.296 Zeichen · 46 Bildschirme
わきたつような賑やかさで、初めのうちは誰も気がつかなかったが、長屋から来た一人がふとみつけ、
「あれあれ、お石さんじゃあねえか」
びっくりしてこう叫んだ。
「なにを云うんだ」五兵衛は酒にむせ、慌てて膝の上を拭きながら振返った、「――すっ頓狂な声をだしあがって、なにがどうした、お石さんたあいったい……」
そして五兵衛もあっと云った。みんなその声で唄をやめ話をやめた、賑やかな騒ぎが急に鎮まり、みんながそっちへ眼を向けた。次の八畳のとば口に、お石と、見知らぬ老人が一人、肩を竦めるように坐っている。
「これは珍しい、お石さんだね」阿波屋がまずこう穏やかに言葉をかけた、「――ずいぶん久方ぶりで、……どうしておいでなすった」
「失礼ながら私が御挨拶申します」
見知らぬ老人が手をついて、きわめて鄭重にこう云った。
「私は千住の在で百姓をしております、定七と申してこのお石の叔父に当る者でござります。親がまいるところでございますが、お石のことを恥じまして、どうもあがることができない、済まないが代理でいって呉れと、むりに頼まれて私がお伺い申しました、――平野先生にはこのたびはたいそうな御出世で、まことにおめでたく、お祝いを申上げます」