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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

」

慎太郎は母を憐んだ。それは母と云うよりも母の中の妻を憐んだのだった。

「しかしどうもむずかしいね。今なんぞも行って見ると、やっぱり随分苦しいらしいよ。おまけに頭も痛いとか云ってね、始終首を動かしているんだ。」

「戸沢さんにまた注射でもして貰っちゃどうでしょう?」

「注射はそう度々は出来ないんだそうだから、――どうせいけなけりゃいけないまでも、苦しみだけはもう少し楽にしてやりたいと思うがね。」

賢造はじっと暗い中に、慎太郎の顔を眺めるらしかった。

「お前のお母さんなんぞは後生も好い方だし、――どうしてああ苦しむかね。」

二人はしばらく黙っていた。

「みんなまだ起きていますか?」

慎太郎は父と向き合ったまま、黙っているのが苦しくなった。

「叔母さんは寝ている。が、寝られるかどうだか、――」

父はこう云いかけると、急にまた枕から頭を擡げて、耳を澄ますようなけはいをさせた。

「お父さん。お母さんがちょいと、――」

今度は梯子の中段から、お絹が忍びやかに声をかけた。

「今行くよ。」

「僕も起きます。」

慎太郎は掻巻きを刎ねのけた。

「お前は起きなくっても好いよ。何かありゃすぐに呼びに来るから。