Japanische Klassiker mit Furigana
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かやのおいたち
かやの生立
岡本 かの子
Lesen Sie かやの生立 (かやのおいたち) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.632 Zeichen · 25 Bildschirme
その側に下女のおすめは、一かかえもあるほどな大きな七輪へ、赫々と炭をおこして、長い鉄串へ幾切もの粕漬の塩鮭を並べて居る、焼けて溶け落ちる塩鮭の油が炭火に焦げて、ぷんぷんと香ばしい匂をたてるのであった。それは、其日、二里許り隔った山城屋の持ち山の木を曳きに行くこの男達の弁当のお菜なのである。外に握り飯が大形の、切溜めという深く四角い塗った器につめてある傍に、濁酒のはいった素焼の一升瓶が添えてあった。それらを携えて、草鞋の紐を緊めて毎年の例の様に男達は出て行った。薄ぼけた様な雲のなかに、ちらちらと饒に残光を保つ明け方の星空の元に、山刀や弁当の包を太縄で結わえ付けた幾つもの男達の空車の歯が、からからと音を立てて、やがて次の村落の方へ消えて行くと、跡は森閑として、家内の者はにわかに睡眠不足の眼をしばだたき出すのであった。
夕方、もう、あたりが、まっくらになってから、男達の手車は、めいめいに小山の様にうず高い荷を着けて帰って来た。それらの幾つもの車が、表門の土台まで除けて邸内に曳き入れられた。そして、外庭の半分程の地を取って、その持山からきり曳かれて幹と枝とを切り離なされた八九尺程の雑木が行儀よく、幾組かに其処に積み立てられた。