Japanische Klassiker mit Furigana
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『このこころのほこり』
『この心の誇り』
宮本 百合子
Lesen Sie 『この心の誇り』 (『このこころのほこり』) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 17 Bildschirme
いる。幼馴染で、謙遜で、スーザンの内面的な強烈さ、優秀さを十分評価しているマークとの結婚は、一人の男の子と女の子とを二人の間にもたらして、終りを告げた。マークはチフスで急に死んだのであった。しかし、マークはただチフスで命をおとしたのだろうか。医者が、「お気の毒ですが奥さん、御主人は一種の精力が欠けていたとでも言いましょうか――その――」と云ったマークの生への諦めは、彼の死に無関係ではなかった。彼のその悲しい諦めは何が原因であったろう。
スーザンは自分の心を偽らない生きかたをしているために、マークと自分との間の悲劇をもはっきりと見ていた。それは、彼女の彫刻への熱情である。
結婚するとき、マークはスーにとって本源的な彫刻への欲望を十分理解していた。それにもかかわらず、彼女がその仕事に熱中しある成功を獲てゆくと、良人としてのマークのひそかな苦悩は次第につのった。婚約時代にもマークはスーがおりおり自分の手をぬけて、どこか遠いところへ行ってしまう、そして自分の知らない人になってしまうと云って訴えることがあった。スーザンはそのたびにどんなに体じゅうで彼のその気持を忘れさせ、彼のものである自分を納得させようとしただろう。