Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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『このこころのほこり』

『この心の誇り』

宮本 百合子

Lesen Sie 『この心の誇り』 (『このこころのほこり』) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.535 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

私たちは、どんな本でも、自分の生活というものと切りはなして読めない。そして、どんな本を読んでも、最後にはその印象が落ちてみのる生活の土壤というものは、日本の社会のさまざまな特質によって配合され、性格づけられたものである現実も知っている。私たちは、植物のようにひとりでにその土壤から生えているのではなくて、力よわくとも一人の人間の女であるから、自分の生命の価値について冷淡ではあり得ない。よりよく生きたいという切望は、特別女の心の底深く常に湧き立っている熱い泉である。よしやその泉の上に岩のおもしがおかれて人目からその清冽な姿がかくされていようとも、また、小ざかしく虚無を真似て自分からその泉の小さい燦きに目をそむけていようとも、やっぱりよく生きたい、という願望の実在は消されない。

よく生きたいという女の希望の面は多様だが、今日、若い世代に一番共通なのは、どうかして自分たち女が、実にいい愉しい妻であり、母であって、同時に自分自身の生活というものも持ってゆきたいという要望ではないだろうか。女であるから男を愛する自然さもわかっている。愛したものが互に生活を最も密接させたくて、結婚する必然の動きもわかっている。