Japanische Klassiker mit Furigana
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そのひとのよねんかん
その人の四年間
宮本 百合子
Lesen Sie その人の四年間 (そのひとのよねんかん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.577 Zeichen · 11 Bildschirme
わたしも笑って、いいことよ。わたしが実物証明をしてあげるから、あなたの小説が書けなかったわけは、これだけかさばった証明があれば許してくれるわよ、などといっていたときに、玄関で、ごめんなさいという元気なはりのある声がした。つづいてあがってもよくてというなり、もうその足音は廊下をつたわってきた。
わたしはふざけて、そら来たといってあやまる仕度に坐りなおした。そこへ小柄な中年の女の人と二十四、五の若々しい人とがつれだって入ってきた。入ってきた人は、知らない人がいたので、あら、ごめんなさい、いきなり入って来てしまって、とふすまぎわに立ちどまった。栄さんが櫛田ふきさんと娘さん、わたしとを紹介した。
このようにして櫛田さんとわたしとは初対面した。やがてわれわれみんなの間に新しい友情や仕事がもたらされるということについては、その時は何もしらずに。
やがて櫛田さんが帰ってから、栄さんはその人について少し説明した。もうその頃は男女学生の勤労動員もはじまっていて、日本青年団の女子部の仕事は戦争協力一点ばりであった。おそろしい運命にさらされて勉強もできずにいる若い女性に、せめて人間らしいよみもののひとつも与えたいと、編輯者である櫛田さんはいつも努力しているということ。