Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme
「こんなことは誰の役でもないさ」と隼人が云った、「ただおりて見るだけではなく、しらべて来ることがあるんだ、まあ黙って見ているがいい」
岡村七郎兵衛は憤然とそっぽを向いた。
綱は太いうえに固く、つなぎ合せるのに暇がかかった。隼人は両刀を小野に預け、綱の一端を胴のところで二重に巻いて結ぶと、他の端を杉の幹へまわさせた。杉の幹を支えに綱を繰り出すこと、それにかかるのが五人、一人は崖の端にいて、隼人の合図を伝えること、などを命じた。――岡村七郎兵衛が崖の端に立ち、隼人は崖を下っていった。綱に擦られて、岩屑や雪が落ちて来、隼人は「笠が必要だな」と呟いた。
「なんですか」と上から岡村が問いかけた。
隼人は「なんでもない」と答えた。
岡村七郎兵衛は手をあげて、足軽たちのほうへ静かに、手招きのような合図をしてみせていた。まもなく下から、「止めろ」という声が聞え、岡村が動かしていた手を止めると、綱はぴんと張ったまま止められた。
「やっぱり此処だ」と隼人の云う声がした、「かけはしは半分落ちただけらしい、――もう少しおろせ」
岡村はその合図をし、綱は繰り出された。ほどなくまた「止めろ」