Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme
「わかった」隼人は歩きだしながら遮った、「それは正内老人からよく聞いたよ」
「私のほうが先輩だと云いませんでしたか」
「先に走りだした者が必ず先に着くときまってはいないようだ」と隼人が穏やかに答えた、「しかし、忠告はよく覚えておくよ」
岡村七郎兵衛は気取って一揖した。
それから二日のち、四月二十日に、その年初めての「月便」を城下へ遣った。宰領は小野大九郎、足軽五人と小者三人が規定の人数であった。朝四時に起きて、六時まで組み太刀の稽古を始めたが、木戸の者はぜんぶ稽古に出たし、どうやらこれは続くようであった。隼人はまた、夜の立番の規則をつくった。午後八時から夜明けまで、番士一人と足軽一人が組みになり、一刻交代で柵の中を見廻るのである。不審なことがあったら、直接「自分に知らせろ」と固く命じ、彼自身もときどき見廻りに出た。
正内老人に頼んでおいたものの一つ、村の現在の詳しい人別帳が届いた。それによると、家族の数は二十一、男二十三人、女三十二人で、役所の記録よりずっと少なかった。名前にも記録にはないものが多く、「ごんぜ」とか、いちの親の「ぶろう」とか、「せこじ」