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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme

Aozora Bunko

隼人は小野大九郎を見た。

「いや違います」と小野が云った、「三味線や太鼓ほど剣術がうまければ、というのは侍だましいがあればということですが、――そうすれば木戸詰になどされずに済んだろう、と云ったのです」

「それはおかしい」隼人の眼にいつものやさしい色がうかんだ、「小野自身も木戸詰になっているんじゃあないか、それとも小野は、侍だましいで木戸詰になったのか」

こんどは小野大九郎が赤くなった。

「ここでは決闘は許さない」と隼人は代る代る二人を見ながら云った、「しかし刀を使わず、素手で殴りあいをするだけなら、事情によっては許してもいい、この場合は許してやろう、やるなら存分にやれ」

二人は顔を見合せた。

「よそう」と小野が云った、「おれが悪かった、あやまる」

「あやまってもらうほどのことでもないさ」と乾が応じた、「おれも云いすぎたよ」

こういうことは、女たちの騒ぎのあとでよく起こったが、決闘などということはその一度だけであった。

御用林の仕事が終りかけていた或る日、――見廻りにいった朝田隼人は、檜林の中であやに捉まった。雨は三日まえからあがったままで、林の中の水をたっぷり吸った土には、木洩れ陽が斑点になってゆらぎ、檜の若葉が咽せるほどつよく、しかし爽やかに匂っていた。