Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
Lesen Sie ちゃん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.377 Zeichen · 45 Bildschirme
八
しかし、手を伸ばして、土瓶を取る精もなく眠り続けた。――半睡半醒といった感じで、お直や子供たちの声を聞き、食事をする茶碗や箸の音を聞いた。そして、それらが静かになるとまた眠りこみ、豆腐屋の呼び声で眼がさめた。路地をはいって来た豆腐屋を、お直が呼びとめ、「やっこを二丁」と云っていた。
重吉ははっきりと眼をさまし、しまった、と掻巻の中で首をすくめた。
「とんだことをしたらしいぞ」と彼は口の中でつぶやいた、「なにか大しくじりをやったらしい、うっ」
すると、枕元へ誰か来て、そっとささやいた。
「たん、起きな」それはお芳であった、「あの人どよぼうだよ」
八
「云うんじゃないっていったのに、しょうのない子だねえ」とお直が云った、「――もうこのへんがよさそうよ」
彼女は箸で鍋の中の豆腐を動かした。膳の脇にある七厘の上で、湯豆腐の鍋がさかんに湯気を立てている。重吉は盃を持ったままで、その湯気を仔細らしく眺めていた。半刻ほどまえに起き、銭湯へいって来てから、その膳に向って二本飲んだのであるが、酒の匂いが鼻につくばかりで、少しも酔うけしきがなく、気持もまるでひき立たなかった。