Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
Lesen Sie ちゃん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.377 Zeichen · 45 Bildschirme
十
「おめえたちは」と重吉がしどろもどろに云った、「おめえたちは、みんな、ばかだ、みんなばかだぜ」
「そうさ」と良吉が云った、「みんな、ちゃんの子だもの、ふしぎはねえや」
おつぎが泣きながらふきだし、次に亀吉がふきだし、そしてお芳までが、わけもわからずに笑いだし、お直は両手でなにかを祈るように、しっかりと顔を押えた。
十
いうまでもなく、一家はその長屋を動かなかった。お直と良吉の意見で、重吉は「五桐」の店をひき、自分の家で仕事をすることにした。
これまでも自分が古いとくいを廻り、注文を取って来たのだから、店をとおさずに自分でやれば、数は少なくとも、売れただけそっくり自分の手にはいる。「五桐火鉢」といわなくともいい、蒔絵の模様も変えよう。そのうちにはまた世間の好みが変って、彼の火鉢ににんきが立つかもしれない。いずれにせよ、やってみるだけの値打はある、ということになったのであった。
それが思惑どおりにゆくかどうかは、誰にも判断はつかないだろう。長屋の人たちはうまくゆくように願った。かれらはみな重吉とその家族を好いていたから――しかし、それからのちも、長屋の人たちは重吉が酔って、くだを巻く声を聞くのである。