Japanische Klassiker mit Furigana
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つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
Lesen Sie つばくろ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.987 Zeichen · 44 Bildschirme
彼はこう云ってそこへ坐った、「――おまえは今夜のことを知っていたのではないか」
おいちはうなだれたまま頭を振った。
「正直に云え、正満から帰る途中にやるとおまえは森から聞いていたのではないのか」
高雄の声は激しかった。おいちはその声にうち伏せられるかのように、ううと声をあげて前へのめった。前のめりに倒れると、片方の腕がぐらっと力なく投げだされて、そのまま動かなくなった。
「――おいち、おいち」
彼はすり寄って呼んだ。妻の顔は血のけを喪なって硬ばり、固く歯をくいしばっていた。悶絶したのであった。……高雄は茶碗に水を汲んで来て、妻を抱き起して、くいしばった歯の間から口の中へ注ぎ入れてやった。
息をふき返したおいちは、ようやく身を起したものの、正しく坐ることができないとみえ、両手を畳について、それでも不安定に半身をぐらぐらさせていた。
「今夜はきかなければならない、どうして彼と知りあったのだ、二人はどんな関係になっているんだ、正直に云って呉れ」
おいちは荒く息をついていた。だが悶絶するほどの苦しみを経て、覚悟はきまったのだろう、低くかすれた、うつろな声で、とぎれとぎれに云い始めた。