Japanische Klassiker mit Furigana
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つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
Lesen Sie つばくろ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.987 Zeichen · 44 Bildschirme
二
――塵ほどのよごれもないこのきれいな眼が、……少しの濁りもないこの柔らかな肌が。
高雄は云いようのない激しい感情におそわれ、おれか、と反問しかけたままで顔をそむけた。そのときつきあげてきた感情は生れて初めて経験するものだった、苦しいとも悲しいとも寂しいとも形容できない、自分ではまったく区別のつかない、しかし非常に激しいものであった。……玄関へ出ると、おいちは大助を抱いて送りに出た。高雄の気持がわからなかったのだろうか、式台へ膝をついてこちらを見ながら云った。
「わたくし今日は泰昌寺へ参詣にまいりたいのですけれど、よろしゅうございましょうか」
「いや今日はいけない」
高雄は向うを見たままで答えた。
「今日は早く帰って来る、話しがあるから、どこへも出ないでいて貰いたい」
はいというおいちの声は消えるように弱かった。高雄は硬ばった肩つきで、妻のほうは見ずに玄関を出た。そのうしろへ大助の舌足らずな声が追って来た。
「たあたま、おちびよよ、よよ」
二
泰昌寺という妻の言葉が、反射的に彼の決心を促したようだ。城へあがるとすぐに支配へ届けをし、午の弁当をつかわずに下城した。