Japanische Klassiker mit Furigana
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つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
Lesen Sie つばくろ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.987 Zeichen · 44 Bildschirme
父親は幸助といってたいそう好人物だったらしい。妻がながいこと胃を病んで、ずいぶん貧窮していたところへ、幸助がまた卒中で倒れた。母親がながいあいだ寝ていたので、おいちは八九歳のころから炊事や洗濯をし、かたわら近所の使い歩きや子守りなどもして家計を助けていた。父の倒れたのは十三歳の秋であったが、そのじぶんには糸針を持って巧みに繕ろい物をし、またしばしばよそから頼まれて、解き物や張り物などの手伝いにいった。両親の世話をしながらのことで、どんなにか苦労だろうと思われるのに、そんなふうは少しも人にみせなかった。明るい顔つきではきはきして、いかにもすなおであった。背丈は小さいが縹緻はかなりいいし、気はしがきくので誰にも可愛がられた。
幸助が倒れてからまもなく、まわりの人々がおいちに縁談をもって来はじめた。おいちはまだ十三であったが、一人娘だから形式だけでも婿を取って、いちおう相続の届けを出すのが常識である。そういう話しの出るのは当然なのだが、十三のおいちがそのことだけは固く拒んだ。
――わたくしは一生ふた親の面倒をみてくらします。
たとえかたちだけでも親子三人の生活を変えたくないという気持らしい。