Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Lesen Sie つぼみ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.918 Zeichen · 44 Bildschirme
その花は白粉の花に似て女らしいしおらしい花である。色は白紅淡紅でさし渡しは五分位、白い花のまん中に一寸と茶色の紋があるのなんかはものずきな御嬢さんが見つけたらキッとつまないではおかないほど人なつっこい花である。
「どうして生えたんだろう。誰がまいたとも分らないのに……」
「一人手にたねがとんで来たんでしょうキット……」
「そんな筈は有るもんですか。とんで来たんならあんなにチャンとならんで生えてなんて居るもんですか貴方」
こんな事を云い合って分らないに知れきったことで頭をなやまして居る内に花はみんな咲ききって七日ばかり立った。
誰云うとなく、その内に、あの花の蕊には昼でも夜でもキット一匹小さい茶色の羽虫が棲んで居る、どの花にでも……
と云うものが出来た。大事件のもち上ったようにさわぎ立てた。
年とった人なんかは、
「まかないものが生えるなんて、それでさえ一寸妙だのに……
それに違いないきっと魔がさしたんだ」
なんかと云ってその日は常よりも読経の時を長くし御線香も倍ほどあげたりして居た。
夜から私達は庭に出る度にキットこの花の中をのぞいてばかり居た。その中に小さい子供が風流熱にかかったりしたんでだれもかれも申し合わせたように花の事なんかは忘れて居た。