Japanische Klassiker mit Furigana
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まじょりかざら
まじょりか皿
寺田 寅彦
Lesen Sie まじょりか皿 (まじょりかざら) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.089 Zeichen · 9 Bildschirme
一体に食う方にかけては贅沢で、金のある時には洋食だ鰻だとむやみに多量に取寄せて独りで食ってしまうが、身なりはいつでも見窶らしい風をして、床屋へ行くのは極めて稀である。それでも机の抽斗には小さな鏡が入れてあって、時によると一時間もランプの下で鏡を睨めている事がある。風采はあまり上がらぬ方である。酒を飲まぬ事と一度も外で泊った事のないのを下宿の主婦が感心していた。友達というものはほとんどない。ただ一人親しく往来していた同窓の男が地方へ就職して行ってからは、別に新しい友も出来ぬ。ただこの頃折々牛込の方へ出ると神楽坂上の紙屋の店へ立寄って話し込んでいる事がある。この紙屋というのは竹村君と同郷のもので、主人とは昔中学校で同級に居た事がある。いつか偶然に出くわしてからは通りがかりに声を掛けていたが、この頃では寄るとゆるゆる店先へ腰を下ろして無駄話をして行く。主人の妹で十九になる娘が居て店の奥の方でちらちらする時がある。色の白い女学生風な立ち姿の好い女である。晴々とした顔で奥から覗いて美しい眼を見せる時もあるが、また妙に冷たい顔をして竹村君などには目もかけぬ時がある。