Japanische Klassiker mit Furigana
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みちのく
みちのく
岡本 かの子
Lesen Sie みちのく von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.136 Zeichen · 13 Bildschirme
四郎がお蘭のところへ来なくなって、この白痴の少年が金モールの服をつけ曲馬の間に舞台に現れて、唄をうたい踊りを踊ったのち、真鍮の小判だの肖像入の黄財布だのを福の縁起だといって見物に売るという噂を耳にした、お蘭は立っても居てもいられなかった。片親の父に相談してみても物堅い老舗の老主人は、そんな赤の他人の白痴などに関まっても仕方がないと言って諦めさせられるだけだった。
冬が来て春が来た。四郎の人気はだんだん落ちて、この頃では、白粉や紅を塗って田舎芝居で散々愚弄される敵役に使われているという風評になった。お蘭は身を切られるように思いながらじっとその噂を聞いた。四郎がたとえこの町へ帰って来てもどうなるものではない。馬鹿を悧巧にしてやることが出来るというでもないがしかしとにかく、早く帰って来て欲しいと神仏へ祈請もした。
また幾つかの春秋が過ぎた。四郎の噂は聞かれなくなった。
父親は死んで、お蘭は家を背負わなければならなかった。生前に父親も親戚も婿をとるようかなりお蘭を責めたものだが、こればかりはお蘭は諾わなかった。四郎が伝え聞いたらどんなに落胆するであろう。