Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちのく
みちのく
岡本 かの子
Lesen Sie みちのく von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.136 Zeichen · 13 Bildschirme
表の町通りにわあわあいう声がして、それが店の先で纏ると、四郎が入って来た。
四郎はお蘭の前に来ると、お蘭が何とか言ってくれるまでぷすっとして黙って立っているのがいつもの癖であった。それがこの白痴に取ってせいぜい甘えた態度だった。それが面白いのでお蘭はなるたけ気がつかぬ振りをしてうつ向いている。
だが、やがて振仰いだときにお蘭はびっくりして叫んだ。
「何ですねえ、四郎さんは。そんなおかしな服装をして」
四郎は赤い羽織に大黒さまのような頭巾を冠っていた。
「おら、嫌だと言ったんだけれど、みんなが無理に着せるんだよ」
四郎はお蘭の怒りに怯えながら言った。
「すぐお脱ぎなさい」
お蘭は手伝って四郎からそのおかしなものを取り去ってやった。
「白痴だと思ってこの子を玩弄物にするにも程がある」
すると四郎は、
「白痴だと思って――この子を――玩弄物にするにも程がある」
とおずおず口移しに真似て言った。不断、お蘭のいうことはすべて賢い言葉だと思って、口移しに真似て見るのが四郎の癖であった。日頃はそれも愛嬌に思えたが、今日はお蘭には悲しかった。お蘭は冷水で絞った手拭を持って来てやったり、有り合せの蕨餅に砂糖をかけて出してやったりした。