Japanische Klassiker mit Furigana
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わかむらさき
わか紫
泉 鏡花
Lesen Sie わか紫 (わかむらさき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.708 Zeichen · 75 Bildschirme
仔細はない、崖の総六が背戸の、日当の良い畑地に、二月の瓜よりもなお珍とすべき、茄子の実が生りました。
総六は、崖の、と呼ぶ、熱海の街を突切って、磧のような石原から浪打際へ出ようとする、傍の蠣殻屋根、崖の上の一軒家の、年老いた漁師であるが、真鶴崎へ鰹の寄るのも、老眼で見えなくなったと、もう鈎の棹は持って出ず、昼は人仕事の網の繕、合間には客を乗せて、錦の浦遊覧の船を漕ぐのが活計。
仇しあだ浪いとまなみ、がらがらと石を捲いて、空ざまに駈け上る、崖の小家の正面に、胡坐を総六とも名づけつびょう、造りつけた親仁のように、どっかりと臀を据え、山から射す日に日向ぼっこ、海に向うて朝から晩、暮れると、浪枕、やあ、ころりとせ。
沖から遠眼鏡で望んだら、瞬する間も静まらず、海洋の蒼き口に、白泡の歯を鳴らして、刻々島根を喰削らんず、怖しき浪の頭を圧えて、巌窟の中に鎮座まします、世に頼母しき一体の羅漢の姿に見えるであろう。
総六親仁は、最初、この茄子の種を齎らして、背戸へこぼして行ったのは、烏に肖て翼違い、雉子のようでやや小さく、山鳥かと思うと嘴の白い、名を知らぬ、一羽の鳥であったという。