Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまま
わがまま
伊藤 野枝
Lesen Sie わがまま von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.570 Zeichen · 18 Bildschirme
またじりじりしだした。――嫌な嫌なその叔父は、私らより十五分も前に長崎から博多について私等をそこで待っている――登志子は眉をあげてホッと息をした。それ以上考えることは彼女にはとても今の場合出来なかった。しかも汽車は走っていく。
嫌な方に嫌な方にとずるずる引きずられていく――登志子はもう胸元にこみ上げてくる何物かがグッと上がると、すぐにもそれが頭をつきぬけてすっとこの苦しい自分からはなれていきそうで、それがまた心地よさそうにも思われながら、一方にはまた激しい惑乱に堕ちることを恐れて、グッと下腹に圧しつけながら目をつぶった。
いつもはこの汽車の中で聞く言葉の訛りがいかにもなつかしく快よく響くのだが、今日はそれどころではない。彼女は連れのまき子等が何を話しているか何をしているか、そんな事に注意する余裕はなかった。彼女は顔を蒼くして窓にかたくなって凭っていた。
「あ着いた着いたもう箱崎だ、あと吉塚、博多だわね」
まき子は勢いよく立って荷物の始末をしはじめた。登志子は今さらのようにはっとした。なるべく避けよう避けようとした時がもう目前にせまった。
「かまうものか仕方がない、なるようにしかならないのだ。