Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「それがどないしてん? なんぞ、俥のなかに忘れもんでもしたんか? そんなもん見つかれへんかったぜ」
「まあ、聴きイな」
彼女は御蔵跡の下駄の鼻緒屋の二階に亭主も子供も身寄りもなく、ひとりひっそり住んでいる女だが……
「めったに俥なんか乗ったことのないくせに、この間、偶然あんたの俥に乗ったというのが、なにかの縁だろうな……」
他吉の俥のあとからよちよち随いて来る君枝の姿を見て、彼女はむかし松島の大火事で死なしたひとり娘の歳もやはりこれくらいであったと、新派劇めいた感涙を催し、盗んで逃げたい想いにかられるくらい、君枝がいとおしかった。夜どおし想いつづけ、翌日小屋に来て誰彼を掴えて、その奇妙な俥ひきの祖父と孫娘のことを語っているのを、玉堂がきいて、あ、それなら知っている僕の路地にいる男だと言うと、彼女は根掘り他吉のことをきき、祖父ひとり孫ひとりのさびしい暮しだとわかると、ぽうっと、赧くなって、わてもひとり身や。そして言うのには、あの人に後添いを貰う気持があるか訊いてくれ、わてにはすこしだが、貯えもある、もと通り小屋に出てもよし、近所の娘に三味線を教えてもよし、けっしてあの人の世帯を食い込むようなことはしない、玉堂はん頼みます云々……