Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.869 Zeichen · 52 Bildschirme
振り向いて、暫らく瞶てから、
「あ。次郎ぼん。」
十三年前東京へ奉公に行き、それから二年のちにたったひとりの肉親の父親が蝙蝠傘の骨を修繕している最中に卒中をおこして死んだ報らせで、河童路地へ帰って来た時、会うた切り、もう三十いくつかになっている筈だとすばやく勘定した拍子に、君枝はそんな歳の彼を次郎ぼんという称び方したことに想い当り、はっと赧くなっていると、次郎は、
「やっぱりお君ちゃんやった。いや、なに、此の写真を見たはるんでね、そうじゃないかと思ったんや。」
と、大阪弁と東京弁をごっちゃに使って言い、そして、そんなになつかしい写真なら、なにもわざわざ見に来なくとも、譲って貰って自分のものにすればよいじゃないかと、写真館の主人に掛け合ってくれた。
そんな次郎の親切が君枝は思いがけず嬉しくて、子供の頃親なし子だと虐められた時、かばって呉れたのは次郎ぼんひとりだったと、想いだしながら、やがて並んで歩いた。日覆のある千日前通を抜けて、電車通を御堂筋へ折れると、西日がきつかった。
他吉の話が出た。いまだに俥をひいていると聴いて、次郎はちょっと驚いた顔だったが、すぐ微笑んで、