Japanische Klassiker mit Furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Lesen Sie オンチ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.673 Zeichen · 42 Bildschirme
「ウン……辷らないと云うから試しに買ってみたんだが……やっぱりテニス靴の方がいいね。窮屈で、重たくて、辷る事は同じ位、辷るんだからあそこに投込んでおいたんだ」
「いつ頃お求めになったんですか」
「……………」
「非常に丈夫そうですが、どこでお求めになったんで……」
「……………」
中野学士は返事をしなかった。直ぐに真向うの事務員の一人を叱り飛ばした。
「馬鹿……そんな遠くからトップを打ったって利かん利かん……ソレこの通り……ハッハッハ……」
と高笑いをするうちに、その事務員の足の下へ火の出るようなヴォーレーをタタキ返した。その得意そうな背後姿を睨みながら、戸塚が地下足袋の裏面をチョット裏返してみた。そうして何気ない恰好で、飛んで来る球に向って身構えたが、間もなく顔中に勝ち誇ったような冷笑を浮かみ上がらせた。
三好と又野は壁の穴から身を退いて、恐る恐る顔を見交した。二人とも笑えないほど緊張していた。やがて又野が深い、長い溜息を一つした。
「……そうかなあ……彼奴かなア……」
セカセカと眼鏡をかけ直しながら三好はうなずいた。又野は茫然となった。
「そうかなあ……ヘエーッ……」