Japanische Klassiker mit Furigana
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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
Lesen Sie ガラマサどん von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 99.079 Zeichen · 202 Bildschirme
しかし中島さんは、
「もう宜いよ」
と直ぐに機嫌を直して、
「時に太夫さん」
とお隣りへ話しかけた。太夫さんはお歴々と同乗した積りで恐懼している。そこへ首の問題なんか持ち出しては気が利かない。
「へい/\」
「大将の義太夫は何んなものですか?」
「へい」
「あれで巧いんですか?」
「さよう」
「駈引のないところ」
「学のあるお方でいらっしゃいますから、理窟の方はナカ/\仰有います」
「実際の方は拙いんでしょう?」
「何う致しまして。ナカ/\お耳が肥えていらっしゃいます」
「自分で語る方は何うですか?」
「もう随分長くやっていらっしゃいますから」
「多少堂に入っているんですか?」
「私が先の師匠に代ってから五年でございます。先の師匠は私の師匠で近頃にない名人でございました。これに十年もおつきになったんですから、御研究は充分積んでいらっしゃいます」
「長いことは分っていますが、見込があるんですか? ないんですか?」
「すべて芸事というものは一生涯修業でございますよ」
と太夫さんは明答を避けた。
「要するに拙いんですな」
「いや、何う致しまして」
「太夫さんもお骨が折れましょう」
「へい」
「結局、持て余しものだと仰有らないばかりじゃありませんか?」