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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

壇に手をついて、肩で大息をつき、

「われわれ、……一同……」

もう、倒れる。……キャラコさんは、夢中になって、われともなく、

「ああ」

と、大きな声をあげた。

佐伯氏はギョッとしたように、急に顔をあげてキャラコさんのほうを眺めていたが、聴衆のほうへ向き直ると、とつぜん、

「申し訳ありません。……実に、どうも、不敵千万な……」

と、いうと、声をあげて演壇の上へ泣き伏してしまった。

講堂の一同は、何事かと眼をそばだてているうちに、佐伯氏は、錯乱したように演壇を駆けおりると、人波をおしわけながら入口から走り出して行ってしまった。

キャラコさんは、旅の身じたくをして箱根町から発動機艇に乗り、湖尻の桟橋で降りた。

渚の向うに、毎日、佐伯氏と落ち合っていた疏水の蘆が見える。

いろいろな思いが、しずかに心のうえを流れる。

佐伯氏の過去に、いったいどのような事があったのか察することができないが、なにか、たいへんな不幸か、たいへんな悩みがあったのだという事だけはわかる。あの狂い出したようなようすを見るにつけても、それが、どんなにかひどいものだったろうと、思いやられるのである。