Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.444 Zeichen · 30 Bildschirme
……離屋の悦二郎の書斎へでも行って見なさい。懸巣がいてね、それが、よく馴れて面白いことをする……光るものを投げてやると、嘴でヒョイと受けるよ」
離屋の書斎!
いっぺんに眼がさめた。
(そうそう、たいへんなことがあるんだった!)
キャラコさんの背筋を、また、こそばゆいものが上ったり下ったりしはじめる。
いままでの呑気な気持がどこかへ消し飛んで、日暮れがたのような滅入った気持になる。足元から絶えず風に吹きあげられているような、なんとも手頼りない感じである。
(こんな具合ではしようがない。どうせ、やるにはやるけど、まだ、はっきりした決心がついていないようだわ。やはり、それまで、待たなくては……)
キャラコさんは、あわてて異議をとなえる。
「でも、おるすにはいり込んだりしてはいけないでしょう。あとで叱られそうだわ」
母堂は、はッはと、笑い出して、
「あの、のんき坊主が、なんで、そんなことを気にするものですか。面白いから、行って見ていらっしゃいよ」
キャラコさんが、蚊の鳴くような声で、いう。
「今でなくては、いけませんの」
マジマジと、キャラコさんの顔を瞶めて、
「なんて、情けない声を出すの。