Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.444 Zeichen · 30 Bildschirme
二
二
たしかに葉山にいらっしてるはずだと思って、安心してやって来たのに、
「ちょうど、きのう、お帰りになりまして……」
と、小間使いが、いう。
困ったことになったと思ったが、もう、引きかえすわけにはゆかなかった。
御母堂が、恰幅のいい、大きな身体をゆするようにして、
「まあまあ」
と、叫びながら玄関へ走り出してきた。
「……、これは、ようこそ。珍らしいひとがひょっくりやって来たもんだ」
「おばさま、いつも、ご機嫌よくて」
御母堂は、顔じゅう笑みをくずして、
「うむうむ、挨拶などは、どうでもいい」
手をとらんばかりにして、
「さァさァ、どうかあがってちょうだい。……ご無沙汰ばかりしていますが、みなさん、おかわりはないの?……うむ、それはよかった。……きのう帰って来たとこでね、ちょうどいい折りだった」
上機嫌に、なにもかもいっしょくたに、ひとりでうけ答えしながら、庭に向いた風とおしのいい夏座敷へ通すと、せっかちに手を鳴らして、
「おいおい、誰かいないのかい。早く、おしぼりを持っておいで」
走りこんできた女中に何かいいつける間も惜しそうに、
「葛子が帰って来たら、嬉しがって、また、暴れまくるこッたろう。