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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.444 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

「ねえ、タフさん、悦二郎氏、……このごろ、また、忙しいのでしょう? よくお逢いになります?」

緋裟子さんは、返事をしない。そっぽを向いたまま、いやに語尾をはっきり響かせながら、つぶやくように、いうのである。

「……白い壁、……鉄の寝台、……窓の外の白膠木……。なにもかも、むかしのままね。ちっとも変わらない。……ふしぎな気がする。……遠い遠いむかしにひき戻されたようで……」

どこか、翻訳劇のセリフの調子に似ている。

緋娑子さんが、この前に遊びに来たのは、去年の暮れごろのことだったから、むかしといったって、まだ、半年そこそこにしかならないが、緋娑子さんの咏歎をきいていると、それが、『昔々、あるところに』の、あの『大昔』のようにきこえる。

なにしろ、かさねがさねなので、キャラコさんは、すっかり度胆をぬかれてしまって、

「タフさん、あなた、去年の暮れに遊びにいらしたこと忘れていらっしゃるんじゃないこと?……ええ、そうよ、寝台も白膠木でもむかしのままよ。半年ぐらいでそんなに変わるわけもないでしょう」

「そうね、ちっとも変わらないわ。……あんたも、……この部屋も……」