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Japanische Klassiker mit Furigana

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グースベリーのうれるころ

グースベリーの熟れる頃

宮本 百合子

Lesen Sie グースベリーの熟れる頃 (グースベリーのうれるころ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.041 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

毎日毎日若い仙二は夏のうすみどりの色が自分をまねいて居る様に思えて居た。

桜は美くしかったが仙二の心を引かなかった。

花が散ると仙二のまちかねた夏はもう目の前に来た。

山々はみどりのビロードを張りつめた様に牧場には口に云えないほどの花が咲き出して川の水も池の面も元気の好い太陽にくすぐられて微笑んで居る様に道にころがって居る小石にさえ美しさが輝き出してまるで小鳥の様に仙二はうすい着物に草履をはいてはそこいら中を歩き廻った。

山から山へ、野から又野へ響く様な気持で小供の様に細い澄んだ歌を唄う事もあった。

其の日も仙二はいつもの通り軽い身なりで池のふちを歩いて居た。

もう夕方の香りの有りそうなもやがかなり下りて川で洗われてしっとりとつやのある背の馬が思うままにのびた草を喰べながら小馬を後につれながら同じ池のふちを歩いて居た。

人になれきったその馬の首を撫でたりカナカナと調子をあわせて口笛を吹いたり何とはなしの嬉しさが体の内におどりくるって居た。

池のくいによっかかって居た時池のすぐわきを二つの声がよぎって行った。

一つの声はまだ育ちきれない女の若々しさを持って早口に通る響をもってなめらかにいろいろの事を話し、一つの声は余裕のある生活をして居る年よりの声であった。