Japanische Klassiker mit Furigana
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ココナットのみ
ココナットの実
夢野 久作
Lesen Sie ココナットの実 (ココナットのみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.448 Zeichen · 35 Bildschirme
見物人も元の通りに四五人突立っている。その真上に重たい銀色の球をさし出して手を離しながら、すばやく窓を閉めて、耳の穴に指を突込んだ。建物の全体がビリビリとふるえた。
……それだけだった……けれども、タッタそれだけで、妾は身体中が汗ビッショリになるほど昂奮してしまった。
それから何十分ぐらい経っていたか、わからなかった。
隣りの室の仕切りの大きな垂れ幕の裾にハラムの全裸体の屍骸が長々と横っていた。その横の化粧部屋で、妾は久し振りにお垂髪に結って、新しいフェルト草履を突っかけながら、振り袖のヨソユキと着かえていた。
それはウルフが四五日前に教えてくれたピストルの無音発射の試験を実地にやってみて、成功したばかしのところだった。妾の寝台の上にだらしなく眠りこけていたハラムの真黒い、おおきな腹の弾力が、妾の小さなブローニングの爆音を、あらかた丸呑みにしてくれたのだった。反動がずいぶん非道くてビックリしたけども、逆手に持った引金の引き方をウルフから教わっていたので、指を折るようなヘマな事はしなかった。その代りに手の中から飛び出したピストルが天井にぶつかって、風車のように廻転しながら床の上に落ちて、又も二三べんトンボ返りを打った。