Japanische Klassiker mit Furigana
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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
Lesen Sie ゴールデン・バット事件 (ゴールデン・バットじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.946 Zeichen · 46 Bildschirme
丘田医師の家は、すぐ判った。私の長話に大変時間が経過したような気がされることであろうが、アパートを出てからここまで、正味四五分の時間だった。
電鈴を押すと、すぐに人が出て来たのは意外だった。迎えてくれたのは、三十四五の、涼しそうな髭を立てた、見るからに健かそうな和服姿の紳士だった。
「先生は?」
「イヤ、僕ですよ」
「あ、そうですか、実は……」
と私は急病人の話をして、ひどい外傷だから直ぐに来て呉れるように頼んだ。
「伺いましょう。直ぐお伴しますから、ちょっと待っていて下さい」
丘田医師は顔を緊張させたようだったが、奥へ入った。
奥へ入って仕度をしているのであろうが、直ぐという言葉とは違って、なかなか出て来なかった。私はすこし癪にさわりながら、この医師の生活ぶりを見てやるために、玄関の隅々を睨めまわした。
そのときに、私の注意を惹いたものがあった。私も帆村張りに、これでも観察は相当鋭いつもりだ。とにかく第一に私は、そこに脱ぎすてられてあった真新しい男履きの下駄の歯に眼を止めた。桐の厚い真白の歯が、殆んど三分の二以下というものは、生々しい泥で黒々と染まっていた。