Japanische Klassiker mit Furigana
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ズラかったしんきち
ズラかった信吉
宮本 百合子
Lesen Sie ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.656 Zeichen · 110 Bildschirme
「――子供のとき、ひどい病気はしなかったかね?――……餓えたこたァないかね?」
単純な恐ろしく真実な質問は信吉を深く感動させた。
体格検査をうけたのはこれで二度目だ。内地で徴兵検査のときと、――市役所で、陸軍の将校が来て、猿又までぬがした。〔九字伏字〕ときみたいな調べかたをしたが、餓えたことはないかとは、訊いてくれなかった。
信吉は丁寧に、どうにか食えてたと答えた。
「梅毒や淋病は患ってないか?」
つづけて医者がきいた。
旋盤の第三交代は、初め四日間、夜十二時から翌朝の七時まで働くと、まる一日休みで、次の四日間は朝八時から四時までにまわる。もう一度休みを挾んで、四時から十二時までの出番になって、その順でグルグルまわるんだ。
二
白っぽい樺板の羽目に赤いプラカートや、手描きのポスターが貼ってある。
この頃また建てましをやった「鋤」の食堂だ。果汁液だの一杯二カペイキの茶、スイローク(牛乳製品)なんぞを売ってる売店の上んところに、ラジオ拡声器がつき出ている。
昼休みの労働者のための音楽放送だ。ところが今日はオーケストラそっちのけで、一つの長テーブルのまわりへ大勢がかたまってる。