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Japanische Klassiker mit Furigana

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きなだむら

ゼーロン・淡雪 他十一篇

牧野 信一

Lesen Sie ゼーロン・淡雪 他十一篇 (きなだむら) von 牧野 信一 (まきのしんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.321 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

うっかり夜歩きは危ねえから、引上る時には俺たちと同道で面でもかむって……」

「あははは。ためしにそのまま帰って見るのも好かろうぜ。」と法螺忠は笑い、私と御面師の顔を等分にじっと睨めていた。私は何げなくその視線を脱して、スッポンの後ろに掛っている柱鏡を見ていると、間もなく背後から水を浴びるような冷たさを覚えて、そのままそこに凝固してしまいそうだった。鏡の中に映っている自分の姿は、折角人がはなしかけてもむっとして、自分ひとりが正義的なことでも考えているとでもいう風なカラス天狗じみた独りよがりげな顔で、ぼっと前を見詰めていた。顔の輪郭が下つぼみに小さい割に、眼とか鼻とか口とかが厭に度強く不釣合で、決して首は動かぬのに、眼玉だけがいかにも人を疑るとでもいう風に左右に動き、折々一方の眼だけが痙攣的に細くさがって、それにつれて口の端が釣上った。小徳利のように下ぶくれの鼻からは鼻毛がツンツンと突出て土堤のように盛上った上唇を衝き、そして下唇は上唇に覆われて縮みあがっているのを無理矢理に武張ろうとして絶間なくゴムのように伸したがっていた。法螺忠がさっきから折に触れてはこちらの顔を憎々しそうに盗み見るのは、別段それは彼の癖ではなく、人を小馬鹿にするみたいな私の面つきに堪えられぬ反感を強いられていたものと見えた。