Japanische Klassiker mit Furigana
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きなだむら
ゼーロン・淡雪 他十一篇
牧野 信一
Lesen Sie ゼーロン・淡雪 他十一篇 (きなだむら) von 牧野 信一 (まきのしんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.321 Zeichen · 54 Bildschirme
「スリップスロップ!」
と唸りながら慌てて洋盃を傾けると、立ちあがって壁の旗を取り下しにかかった。
「今急に、何もその旗を取り下さなくっても好さそうなものじゃないか。この祝盃は旗の下で挙げようじゃないかね!」
「君の見ている前で一度下すのだ――それから君、これをどうにでもしてくれ……思い出だけは勘弁してくれよ。」
「おお――船が動く動く!」
「動き出した動き出した! なかなか波が高いぞ。」
僕も立ちあがると、二人とも怖ろしく脚がフラフラとして止め難く、二人は一旒の旗の両端をつかんだまま、
「いや、まあこれは君の手で!」
「いけない、今夜とそして進水日にはどうしても友達である君の手で!」
「志はありがたいが、俺にはそんな形式張ったことは柄に合わないから!」
「だって他に人がないことは解っているじゃないか!」
などと譲り合いつつ、酔いに酔った遠慮深いアメリカ・インデアンと美しいマイワイを纏った大男とは、牡丹に戯れる連獅子の舞踊ででもあるかのように狭い部屋の中をグルグルと追い廻った。
(註一。スリップスロップ。――この間投詞は僕が若者間に流行させているもので、知らるる通り「汝の感傷癖を嗤うよ。