Japanische Klassiker mit Furigana
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トシオのみたもの
トシオの見たもの
岡本 かの子
Lesen Sie トシオの見たもの (トシオのみたもの) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.531 Zeichen · 21 Bildschirme
お祖父さん、僕なにもかも、すっかり分って仕舞いました」
「そうか。よかった。おお! お前の眼が、エメラルドの様に澄んで来た」
「この瞳には、いつも神様が、うつっているのですね」
「そうだ。その瞳にうつれば、お前の世界の何ひとつ、もう疑いでも不平でもなくなるのだ。そして、何もかも、皆、よろこんで、愛することが出来るのだ。ありがたいだろう? 愉快じゃないか、行って、お前の世界の人達に、お前の見たものを、すっかり話しておやりなさい。さ、わしの役目も、もう済んだぞ」
お祖父さんの姿は、その時、突然かき消す様に、トシオの瞳から、なくなりました。
すぴー、すぴー。
はろー、はろー。………………
と、にわかに欅の梢で、再び先程の鳥が鳴き出しました。
しかし、トシオはもう、鳥の姿を振り仰ごうともしませんでした。早く自分の村へかえって、自分の見たものを、人々に語って聞かせ度いために、急いで欅のこぶ根から、離れました。不思議なことには、トシオの投げ出して置いた竹の杖が、お祖父さんのと同じ様な銀の杖となって居ました。
すぴー、すぴー。
はろー、はろー。………………
と欅の梢の鳥をまね乍ら、勇んで村へ急いで行くトシオの高くすきとおった声が、しばらく野の末にひびいて居ました。