Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.878 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「ジャポネです」

「ジャポネね? ふうむ」といって、しばらく何か考えていたが、「俺あね、日本人にあいたいあいたいと思っていたんだぜ。……こんな山ン中で日本人にあえようとは思わなかった」あとはひとりごとのように、「とんだいい廻り合せだ」といった。「そうさ、今から六年ぐらい前の話だ。俺の弟はなあ、ツウロンの酒場で日本人の水兵に短剣で眠らされたんだ。弟はそのころ威勢のいい古服屋だったんだが、その晩酒場で女を連れて一杯やッていたっていうんだ。するその水兵が来やがって、どうしてもその女と踊するというんだ。弟の野郎が腹を立てて、そいつの横っ面を平手打したところが、いきなり引っこ抜いて弟の頭へ突っ通したんだ。弟は血だまりん中へ突っぷしてしまう、亭主が驚いて戸外へ飛び出して巡査を呼んでる暇に、その畜生が辻馬車に乗ってどっかへ行ってしまったというんだ。……それっきりさ。どうにも仕様がありゃしない。……だから俺あ、一度日本人にあってよくお礼をいいてえと思っていたのさ」といってから、いかにも満足でたまらない、といったふうに、ヒュウ! と短く鋭い口笛を吹いた。タヌは少し蒼い顔をしながら、