Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.011 Zeichen · 23 Bildschirme
「今日は兄弟!」と愛想を振りまきながら、さながら薄氷を踏む思いで部落を通り抜けると、やがて、皮付きの松丸太を極めて不手際に組み立て屋根の上には強北風よけのごろた石を載せたという堂々たる『極楽荘』に行き当った。内部は一間きりの広々とした四角な部屋で、大きな囲炉裏の壁の上には、鹿の首や、賞牌や、ひからびた姫鱒や、喇叭銃や、そのほか訳のわからぬものが無数に飾り付けられてあった。
二人が部屋へ入って行くと、梁の上から丸々と肥った山鳩が三羽飛び下りて来、寝台の下からは、黒い山羊が起きあがって来て、渋い声でめえとないた。
「あら! あの禿頭のいったことは嘘じゃないわね。部屋だって、このがらくたを始末すると、ずいぶん手ごろないい部屋になると思うわ、あそこにはあんな大きな山鳩がいるし、燻製の鱒があるし、山羊の乳まであるんだから、まるで食物庫にいるようなものだわね。今晩は早速だけど、鳩の丸焼と燻製を喰べることにしようじゃないの」というと、コン吉は、
「大賛成だね。じゃ僕はこれから鳩に引導を渡すことにしよう」と勇み立ったが、これがそもそも災難の濫觴であろうとは。
五、凶雲低迷す極楽荘の棟木の上に。