Japanische Klassiker mit Furigana
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フランセスのかお
フランセスの顔
有島 武郎
Lesen Sie フランセスの顔 (フランセスのかお) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.859 Zeichen · 24 Bildschirme
木の幹がその特殊な皮はだをこれ見よがしに葉漏りの日の光にさらして、その古い傷口からは酒のような樹液がじんわりと浸み出ていた。樹液のにじみ出ている所にはきっと穴を出たばかりの小さな昆虫が黒くなってたかっていた。蜘蛛も巣をかけはじめたけれども、その巣にはまだ犠牲になった羽虫がからまっているようなことはない。露だけが宿っていた。静かに立って耳をそばだてるとかすかに音が聞こえる。落葉が朽ちるのか、根が水を吸うのか、巻き葉が拡がるのか、虫がささやくのか、風が渡るのか、その静かな音、音ある静かさの間に啄木鳥とむささびがかっかっと聞こえ、ちちと聞こえる声を立てる。頭を上げると高い梢をすれずれにかすめて湯気のような雲が風もないのに飛ぶように走る。その先には光のような青空が果てしもなく人の視力を吸い上げて行く。
私たち三人は分かれ分かれになって花をあさり競った。あまりに遠く隔てると互いに呼びかわすその声が、美しい丸みを持って自分の声とは思えないほどだ。私は酔い心地になって、日あたりのいい斜面を選んで、羊歯を折り敷いて腰をおろした。村の方からは太鼓囃しをごく遠くで聞くような音がかすかにほがらかに伝わってくる。