Japanische Klassiker mit Furigana
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ブイヨン・ドンゾール
ブイヨン・ドンゾール
滝沢 敬一
Lesen Sie ブイヨン・ドンゾール von 滝沢 敬一 (たきざわけいいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.081 Zeichen · 7 Bildschirme
医者も、フランス風の脂こいバターのききすぎた料理は我慢して、湯煮にした。それこそ味もそっけもないイギリス風(ア・ラングレーズ)の食事をすすめる。しかし醤油の子である日本人には、おもゆ、おかゆ、それから鯛のさしみとでもありたいところだ。
北極廻りで雲の上ばかり飛び、あっという間に羽田から十八時間でパリの近郊のオルリーにつく戦後の日本人は、ほとんど知るまいが、横浜マルセイユ間一カ月の海路では、日本、フランス、イギリス等どの国の客船でも、「ブイヨン・ドンゾール」(十一時の牛肉の煮出し)をのませた。デッキ・ゴルフに興じて喉がかわいている十一時のアペリチフ時刻になると、食堂のボーイが、大きな盆にすましスープの茶碗をたくさんならべ、クラッカーを添えて持ち廻り、客の取るに任せた。昔フランスの病院では、治る見込がなく邪魔になるだけの病人には、毒を盛ったスープをのませてさっさと片づけたものだという伝説がある。一つのベッドに四人も押し込み、あぶれた病人は室の一隅で、誰か死ぬのを待って、わっと飛びついたという手荒な時代には、ありそうなことでもあった。
「やあブイヨンの時刻ですね」