Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワいんしょうき
モスクワ印象記
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワ印象記 (モスクワいんしょうき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.941 Zeichen · 42 Bildschirme
毎日、事務室の青羅紗の上に、我々は六ルーブリの宿料と、一割の税とをおく。金庫をひかえて坐っているトルストフカの事務員が、一枚の受取をよこす。受取の裏には、普通のホテル取締規則のほかに、宿泊料は一日ごとに支払うべきこと、たまればたまった金高に応じ割合の高い税の附加されることを印刷してある。私があるいはYが、夜の第二十一時五十分になってハッと思い出し、最大速力で事務室へかけ下りるのも、それ故無理ないしだいではないか。貸室は一杯だ。ホテルには空いた部屋がある。そこへも行かずYと私が一室に起居をともにし、読書をともにし、通風口の開けられない夜中は、たがいのはく炭酸瓦斯さえわけ吸って居るのは、モスクワの人口過剰に比例して軽い我等のポケットが最大原因だ。我々は、シベリア鉄道以来の練習でできるだけたがいの存在を神経の埒外に放逐し、ながいモスクワの冬のよなよなを暮す。しかし、私はものが書けぬ。Yは無遠慮に発音練習をやることができない。これは不便だ。しかも、厳然たるわれらの経済が結論するところの不便だから、Yも私も、互に向ってヒステリーを起す権利がない。私は自分の内攻的ヒステリーを少し整理して、田舎者のハンカチーフのような青格子縞のテーブル掛の上で考える。