Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとつみのきもの
一つ身の着物
壺井 栄
Lesen Sie 一つ身の着物 (ひとつみのきもの) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.453 Zeichen · 11 Bildschirme
父親に叱られてすねてみることはあっても、結局は一人っ子の苦労以外の苦労はあまり知らずに育ってしまったのだ。彼女の日頃の言葉の中には、一人っ子の嘆きがいつもあった。だから今、赤ん坊がくるかも知れぬということになると、彼女は単純に喜んでしまった。
「右文なんてめずらしい名前ね。右文ちゃんなんて呼びにくいから、私、右坊って呼ぶわ。でも、右坊もへんね。何てよぼうかな。」
正子は楽しそうに眼を細くしていた。それに水をぶっかけるように私はわざといってみる。
「そんなことよりもさ、大へんなんだよ正子、その右坊という子がお前普通の子ならいいけれど、発育のおくれた、手のかかる子らしいよ。」
「いいわよ。」
「いいわよというがね、子育てなんて、そんな生やさしいことじゃないのよ。正子で身にしみたからね。」
「じゃあ、ことわるっていうの。」
「そんなわけには行きそうもないから、ためいきなんだよ。」
「そんなら仕方がないじゃないの。私、弟ができたと思って可愛がってやるわ。ご恩返しにね。」
「だれのご恩返しさ。」
「お母さんのよ。」
「あ、そりゃ有りがたい。そんなら正子に頼むわね。」
「大丈夫よ。