Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.712 Zeichen · 39 Bildschirme
とすぐ答えたのはあばれ坊主の栗原です。先生が頭を振られました。
「二枚です」と今度はおとなしい伊藤が手を挙げながらいいました。
「よろしい、その通り」
僕は伊藤はやはりよく出来るのだなと感心しました。
おや、僕の帽子はどうしたろうと、今まで先生の手にある銅貨にばかり気を取られていた僕は、不意に気がつくと、大急ぎでそこらを見廻わしました。どこで見失ったか、そこいらに帽子はいませんでした。
僕は慌てて教室を飛び出しました。広い野原に来ていました。どっちを見ても短い草ばかり生えた広い野です。真暗に曇った空に僕の帽子が黒い月のように高くぶら下がっています。とても手も何も届きはしません。飛行機に乗って追いかけてもそこまでは行けそうにありません。僕は声も出なくなって恨めしくそれを見つめながら地だんだを踏むばかりでした。けれどもいくら地だんだを踏んで睨みつけても、帽子の方は平気な顔をして、そっぽを向いているばかりです。こっちから何かいいかけても返事もしてやらないぞというような意地悪な顔をしています。おとうさんに、帽子が逃げ出して天に登って真黒なお月様になりましたといったところが、とても信じて下さりそうはありませんし、明日からは、帽子なしで学校にも通わなければならないのです。