Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとすじのなわ
一条の縄
宮本 百合子
Lesen Sie 一条の縄 (ひとすじのなわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.201 Zeichen · 11 Bildschirme
「まあ、其那声を出して……。どうしたの?
何が其那に嬉しいの。
一足前に出て、しきりに泥を掘じくって居た雌鴨は、首を振りながら、喫驚した様にきいた。
「何がってお前うれしいじゃないかねえ。
まあ考えても御覧よ、虫は此那にも居るしさ、お天気はもって来いだしさ。
その上お前まで、其那に奇麗なんだもんなあ嬉しくなくってどうするんだ。
まあ一寸此方を向けよ、ほんとに俺りゃ気持が好い。
「そうねえ。
ほんとに好い工合だわ。だけどそう喋らずに此れをたべて御覧なさいよ。随分美味しいわ、よーく肥ってるんだもの。
雌鴨は泥だらけの虫を、嘴で振り廻しながら云った。
「有難うよほんとに美味しいね。
けれ共考えて見りゃあ私共はほんとに、運が好いんだよ。今まで何処へ行ったって食べるものには困ったことはなし、其那にこわいと云う程の目にも会わないんだからねえ。どうかこれからも、そうですみます様にだ。ほんとに運が悪いとなると、あの片目の雌鴨みたいなのさえ居るんだからなあ。
「片目のって? どんなんだって? 第一そんなのと私共一緒に居た事があったかしらん。
「ほらお前もう忘れたの? ついこないだまで一緒に居たじゃないか、あのうんと大きな体のさ! よくお前と突つきあいばっかりして居た癖に。