Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとあしおさきに

一足お先に

夢野 久作

Lesen Sie 一足お先に (ひとあしおさきに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.200 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

一

……聖書に曰く「もし汝の右の眼、なんじを罪に陥さば、抉り出してこれを棄てよ……もし右の手、なんじを罪に陥さばこれを断り棄てよ。蓋、五体の一つを失うは、全身を地獄に投げ入れらるるよりは勝れり」と……。

……けれどもトックの昔に断り棄てられた、私の右足の幽霊が私に取り憑いて、私に強盗、強姦、殺人の世にも恐ろしい罪を犯させている事がわかったとしたら、私は一体どうしたらいいのだろう。

……私は悪魔になってもいいのかしら……。

右の膝小僧の曲り目の処が、不意にキリキリと疼み出したので、私はビックリして跳ね起きた。何かしら鋭い刃物で突き刺されたような痛みであった……

……と思い思い、半分夢心地のまま、そのあたりと思う処を両手で探りまわしてみると……

……私は又ドキンとした。眼がハッキリと醒めてしまった。

……私の右足が無い……

私の右足は股の付根の処からスッポリと消失せている。毛布の上から叩いても……毛布をめくっても見当らない。小さな禿頭のようにブルブル震えている股の切口と、ブクブクした敷蒲団ばかりである。

しかし片っ方の左足はチャンと胴体にくっ付いている。