Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのうそ

三つの嘘

豊島 与志雄

Lesen Sie 三つの嘘 (みっつのうそ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.740 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

寝室で、彼はまたにたりと笑い、着物のまま寝床にとびこみ、大きな鼾をたてて眠りました。

それから数日、元はなにか深い物思いに沈んでるようでありました。外出もせず、訪客にも逢わず、居室に閉じこもっていたり、黙々として邸内を歩いていたりしました。

そして一週間後、執事がおずおずと元の前に叩頭しました。

「内々御指図を承りたいことがございます。」

「何だ。」と元は大きな声をしました。

執事は反対に声をひそめました。

一英が、ごく秘密に二万金ほしいと頼みこんだ由であります。執事の見るところでは、危険な相場を初めているらしく、どう取計らったものかと迷っているのでした。

「よろしい、私が処理する。」と元は叫びました。

すると執事は、ほっと吐息をついて、また小声でいいだしました。二英がサラブレットの駿馬を買いたがってる由であります。馬は既に二頭もあるのに、数千金の馬を更にほしがり、執事に内密の相談をもちかけたのでした。

「よろしい、私が処理する。」と元は叫びました。

すると執事は、なお囁きました。三英が元の待女の美喜と、抱き合って泣いていたそうであります。執事が物影から立聞きすると、兄様とか妹とかという泣声が洩れたのだそうでありますが、あの二人は兄妹であられるのか、不思議とも訝しいとも、執事は考えように迷ったのでありました。