Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのひふん

三つの悲憤

豊島 与志雄

Lesen Sie 三つの悲憤 (みっつのひふん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.748 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

父はその中に、蟋蟀を入れて、鳴き声に耳をすましているのです。

そうした父の姿が、阮東の涙ぐましい気持を、急に深くかきたてました。瞼にいっぱい涙がにじんできました。その涙を自分で感ずると、彼は唇をかみしめました。とたんに、今夜に迫った危急な情況がぱっと頭に映りました。彼は嗚咽に似たものが胸にこみあげてくるのを感じました。それが胸にあふれて、激しい憤りとなりました。

彼はつかつかと父の側に歩み寄り、その小壺を手荒くひったくって、木の根本に叩きつけました。壺は砕け散りました。

父は飛び立って、呆然と彼を見つめました。

彼は足は棒のようで、上半身をわなわな震わしていましたが、その震えがやむと、そこに跪いていいました。

「お父さん、許して下さい。然し、私は、四年間も持ち続けた憤りの火が、次第に消えかかったので、家に帰って来ましたが、家に来て、また憤りの火が燃えだしました。大事な壺を壊した代りに、私は私自身を生かします。匪賊のことも、私に任して下さい。」

それから五年後の晩春の頃、阮家では范志清のために盛大な葬儀が行われました。

この間に、附近の情勢はすっかり改まっておりました。