Japanische Klassiker mit Furigana
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さんにんのほうもんしゃ
三人の訪問者
島崎 藤村
Lesen Sie 三人の訪問者 (さんにんのほうもんしゃ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.196 Zeichen · 7 Bildschirme
唯、私はお前に忸れたかして、お前が側に居て呉れると、一番安心する。」斯う私が言うと、「貧」は笑って、
「私に忸れてはいけない。もっと私を尊敬してほしい。よく私に清いという言葉をつけて、『清貧』と私を呼んで呉れる人もあるが、ほんとうの私はそんな冷かなものでは無い。私は自分の歩いた足跡に花を咲かせることも出来る。私は自分の住居を宮殿に変えることも出来る。私は一種の幻術者だ。斯う見えても私は世に所謂「富」なぞの考えるよりは、もっと遠い夢を見て居る。」
「老」が訪ねて来た。
これこそ私が「貧」以上に醜く考えて居たものだ。不思議にも、「老」までが私に微笑んで見せた。私はまた「貧」に尋ねて見たと同じ調子で、
「お前が『老』か。」
と言わずには居られなかった。
私の側へ来たものの顔をよく見ると、今迄私が胸に描いて居たものは真実の「老」ではなくて、「萎縮」であったことが分って来た。自分の側へ来たものは、もっと光ったものだ。もっと難有味のあるものだ。
しかし斯の訪問者が私のところへ来るようになってから、まだ日が浅い。私はもっとよく話して見なければ、ほんとうに斯の客のことは分らない。