Japanische Klassiker mit Furigana
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さんにんのほうもんしゃ
三人の訪問者
島崎 藤村
Lesen Sie 三人の訪問者 (さんにんのほうもんしゃ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.196 Zeichen · 7 Bildschirme
「冬」が訪ねて来た。
私が待受けて居たのは正直に言うと、もっと光沢のない、単調な眠そうな、貧しそうに震えた、醜く皺枯れた老婆であった。私は自分の側に来たものの顔をつくづくと眺めて、まるで自分の先入主となった物の考え方や自分の予想して居たものとは反対であるのに驚かされた。私は尋ねて見た。
「お前が『冬』か。」
「そういうお前は一体私を誰だと思うのだ。そんなにお前は私を見損なって居たのか。」
と「冬」が答えた。
「冬」は私にいろいろな樹木を指して見せた。あの満天星を御覧、と言われて見ると旧い霜葉はもう疾くに落尽して了ったが、茶色を帯びた細く若い枝の一つ一つには既に新生の芽が見られて、そのみずみずしい光沢のある若枝にも、勢いこんで出て来たような新芽にも、冬の焔が流れて来て居た。満天星ばかりではない、梅の素生は濃い緑色に延びて、早や一尺に及ぶのもある。ちいさくなって蹲踞んで居るのは躑躅だが、でもがつがつ震えるような様子はすこしも見えない。あの椿の樹を御覧と「冬」が私に言った。日を受けて光る冬の緑葉には言うに言われぬかがやきがあって、密集した葉と葉の間からは大きな蕾が顔を出して居た。