Japanische Klassiker mit Furigana
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おりき
三好十郎の仕事 第二巻
三好 十郎
Lesen Sie 三好十郎の仕事 第二巻 (おりき) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.279 Zeichen · 238 Bildschirme
(掌の上のケースを額につけて、いただき、叮嚀に懐中へ)
青年 (頭を下げて)いやあ、そんなに大事にして下さらなくても、いいんですよ、ハハハハ……その代り――と言っちゃ、なんですが、お願いがあります。
百姓 あんだえ?
青年 この麦を少しばかり、下さい。
百姓 麦かえ? お安い御用だ、いくらでも持って行きなせ。さあさ、(こごんで両掌で麦粒をすくって出す)
青年 ……(ハンカチを出して、麦を受ける)
百姓 もっと――
青年 いえ、これでたくさんです。(叮嚀にハンカチをむすぶ)
百姓 それんばっち、どうしやす? 第一、このままで、食えはしねえが。
青年 いいんです。ハハハ、……船で今度ガダルカナル辺へ行ったら、こいつを出して見ようと思います。(胸のポケットに入れる)
百姓 ガダ、ガダルカ?(まだ言いにくそうである)あんだえ?
青年 ハハハハハ。……おばあさん、自分が歌を歌います。おばあさんの歌を聞かせて貰ったお礼に。
百姓 俺が歌――?
青年 いえ、先刻聞きました。約束ですから……下手ですが……(ニコニコしながら、草の上にアグラをかいて、上体を真直ぐに伸ばし、頭を昂然と上げ、両膝に両手をチャンと置いて、なにものとも知れず、正面はるかな所へ、キチンと一つ頭を下げる。